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皆に紹介するような内容の本ではありませんが
自分の読後感想として記載します。 本自体、題材的にも気分の悪くなる内容のものです。 虐待・殺人等の話が苦手な方は、目を通さない方がいいです・・・。 ------------------------------------ 【本の概要】 消された一家 〜北九州・連続監禁殺人事件〜 豊田正義著/新潮社 【本の主旨】 2002年に実際にあった事件をまとめたノンフィクションです。 著者はDV、洗脳、サイコパスなどの観点も交えてこの事件を分析しています。 【事件の概要】 北九州において、犯人の男女が、知人男性から金銭を巻き上げる目的で 本人を監禁・虐待し、目一杯借金をさせて金を奪い殺害、遺体は解体して海に遺棄。 その後、犯人の女の家族(ここが信じられない!)である 6人(女の...父・母・妹、妹の旦那=義弟、妹の息子=甥、妹の娘=姪)を、 同様に監禁・虐待して順番に殺害。全員遺体は解体され、海に遺棄されているとの事。 事件は、最初に殺害された知人男性の娘(その後も監禁され続けていた)が逃げ出し、 2002年に祖父母に助けを求めたことでようやく発覚。 少女の監禁が発覚した当時はテレビ、新聞等でも取り上げられていましたが、 事件の全容が見えて来るに従って、 あまりの凄惨さにだんだんと報道されなくなったように記憶しています。 【この本を読んだ理由】 なぜ、このような事件が発生し得るのか? 大の大人しかも複数の大人が同時に監禁され、 従順に虐待を受け続け、犯人の言うことを聞き続け、 互いに殺し合う事自体信じられない思いだったからです。 この事件の被害者は、傍から見ると 逃げようと思えば逃げられたような状況に置かれているケースもあります。 なぜ逃げなかったのか? なぜ犯人に反抗しなかったのか? なぜそんな目にあってまで犯人に「従った」のか? 【参考リンク】 http://ja.wikipedia.org/wiki/北九州監禁殺人事件 ------------------------------------ 【読後の感想】 読む前は、この事件の被害者の気持ちは全く理解できませんでした。 犯人の女が、なぜ自分の家族を巻き込み、殺害したのかも不思議でした。 しかし事件について深く知るにつれて、黒幕は犯人の男一人であることが見え、 犯人の女は、他の被害者と同様に男から凄惨な虐待を受け続けていた事を知りました。 ある意味彼女も被害者なわけです。 あくまでも、この本に書かれている事が本当ならば、ですが。 この事件は、遺体など物的証拠が何もない状況の中、この犯人の女による自供と 最初に逃げ出した少女の証言によって解明されています。 では、黒幕の男とは一体どういう人物なのか。 被害者への接近の仕方、信用させるまでの騙し方が絶妙かつ巧妙で もしも自分がターゲットにされていたら、あの犯人の男に、同様に近づかれたら 自分も逃げられなかったかも知れないと恐怖を覚えました。 犯人の男が巧みに被害者に取り入り、被害者同士が憎み合うように仕向け、 (女性被害者と男女関係を持ち、夫側には「あなたの奥さんに誘われた」と話をして 夫婦の信頼関係を壊す、もしくは、初期の段階でそれぞれに親身に取り入り 悩みや家庭の不満を聞き出しておいて、後ほどそれを巧みに利用して 家族間で互いに疑心暗鬼にさせる、など) 「通電」という手段を用いて被害者を洗脳し、抵抗する気力を奪っていく様に戦慄を覚えました。 被害者7人は全員死亡してますが、殆どは、犯人の男は直接手を下していません。 周到に被害者達を追いつめ、被害者自身に「殺害」の意思決定・実行をさせている点も、 ある意味天才的なものを感じました。 また、犯人の女の家族を巻き込む過程も、実に巧妙です。 犯人の女が、犯人の男から逃亡した事をきっかけに、女の家族に近づきます。 家族に「女が殺人を犯した」「今まで私が守ってきたけれど逃げ出してしまった」 「このままでは、何をするかわからない」「連れ戻さないといけない」 最初の殺人の犯人を女として、 巧妙に事実を混ぜながら、家族の味方のように近づきます。 家族は身内から殺人での逮捕者を出す事を恐れて 犯人の男に協力してしまうのです。 ここがこのご家族の運命を変えてしまったターニングポイントです。 後は、家族からは「時効まで女の逃走を幇助する代金」として散々金を巻き上げ、 家族に「殺人者をかくまっている」負い目を負わせ、 家族全員を、犯人の女の身の振り方を考える名目で毎日自分の元へ通わせて 地元の家にはいられない状況に追いつめていき、自分の手元に置くように仕向けていきます。 私自身は、割と何でも信じやすいし疑うことが悪いことだと思うフシがあったので こういう犯人に免疫も無いし、自己防衛が出来るのかと心配にもなります。 ただ一つ、この事件の被害者に言える共通点は、 「他人とのつながりを絶っていた」「最初に自己保身に走った」事。 犯人の男が接してきた初期の段階で、他人に相談したり助けを求めない、 自分たちのメンツを保つ為に、 自分が追い込まれている状況を隠そうとした点にあります。 犯人の男は、そこにつけ入り 自分しか頼る人間がいないという状況に追い込んでいったのです。 この本によると、DVを行う過程の一つとして、 被害者に他人との繋がりを断絶させる、というのがカギになるんだそうです。 携帯電話のメモリを消させる、家族に悪口を吹き込み絶遠させる、等。 つまり、DV被害者は、DV主としか人間関係が無い=誰にも頼れない状況になることが 重要なポイントなんだとか。 この事件を回避できたとすれば、この点だけではないでしょうか。 しかし、犯人の男は被害者をターゲットとして選ぶ際に 被害者のプライドの高さや自己保身など、人間性をしっかり観察した上で その隙を突いていますから、予防が出来たかというと、 彼らの場合は難しかったのではないでしょうか。 それに、もしも私だったら。 私だって、もしも隠し通せるなら、捕まるよりも、隠し通したいと思うかも知れません。 そこに親身な協力者が現れれば尚更です。 今回の場合、その「親身な協力者」こそが黒幕なわけですが。 この犯人の男は、実在の人物であり、 まかり間違えば、もしかすると、今も同じような人間が 街をうろついているかもしれないわけです。 その性格は、wikiなどに記載されいているサイコパスの特徴そのものです。 ・良心の異常な欠如 ・他者に対する冷淡さや共感のなさ ・慢性的に平然と嘘をつく ・行動に対する責任が全く取れない ・罪悪感が全く無い ・過大な自尊心で自己中心的 ・口達者で浅薄な魅力 読後、自分だけは絶対にこういう被害に合わない、という 漫然とした気持ちは吹き飛びました。 そして、他人とのつながりはとても重要なんだと痛感しました。 全てを疑ってかかることはできませんが、 この事件の場合、最後の命綱が人との関わりだったんですね。 だれでも日常から一歩足を踏み外せば こういった凄惨な事件の当事者になり得るという面でも 恐ろしさを感じる本でした。 亡くなられた方には、本当にお気の毒に思います。 しかし、明日の被害者は自分かも知れないという教訓を貰いました。 これから読まれる方、本の入手を検討されている方、 それなりの覚悟が必要です。 事件自体がかなり残酷かつ凄惨で、 淡々としていますが生々しい描写が続きますので、 もしかして気分が悪くなります。ご注意を。 ↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓ 消された一家―北九州・連続監禁殺人事件 (新潮文庫)
by kei-_-happy
| 2009-12-24 12:02
| 読書感想
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