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新世界より 上 新世界より 下 いやあ、分厚かった!! けど面白かった!! 序盤は少し時間がかかりましたが、後半はあっという間。 下巻はそれこそ寝る間を惜しんで読んでしまい、 寝不足がたたって風邪をひきましたw 手に汗握ってどんどん読み進めてしまう辺りはさすがです。 続きが気になって眠れないっていうのは久しぶりでしたw この作品は....SFファンタジーなのか?と思って読んで行くと、 結局ホラー的展開にもなり、最後はSF的に終わるという感じです。 おそらく1000年後の日本が舞台だと思うのですが、 既に東京という土地は捨てられ、科学技術を失い、 代って「呪力」と呼ばれる、いわば念力を駆使できる人間が つつましく秩序を持って暮らす世界になっています。 その世界において、主人公である女性が綴った 少女時代からの回想録的な手記が本作品という位置づけで 私達読者はこの主人公の手記を読みすすめるという構成になっています。 簡単にあらすじだけ紹介すると、 秩序ある共同体の中で育てられる子供達は 成長と共に「呪力」を使えるようになり、 それと同時に自分が生きる世界の秘密を少しずつ知ってしまう。 彼らを待っている壮絶な運命とは?! って感じw こうやって書くと、単なる冒険物語みたいになりますが、 若干毛色が異なります。 確かに、表向きは冒険物語的ですが、 その根本部分は、人間という種や尊厳、 生物の知能と倫理観などをテーマにした内容です。 なんだか固そうなテーマですが、 ストーリーにどんどん引き込まれていく中で 物語の中に巧みに織り込まれているので、 小難しい印象は受けません。 むしろ後で気づかされるっていうか.... 作品自体は、序盤は本作品の世界についての説明的な記述が続き、 読み手はその都度想像力をフル活用して読み進めていくので若干疲れますが、 その世界観はなかなか興味深いです。 なんていうか、豊かな自然、純朴な子供達っていう物語構成には 何となくトトロ的ファンタジーな雰囲気もあります。 しかし、細かい設定は 何となく、うっすらと不気味さやおぞましさをまとったものであり、 底抜けに明るいとは言えないのです。 表面上はのんびりした雰囲気なんだけど、 薄皮一枚ぐらいの危うさで、実は何か後ろ暗いものを抱えている感じ。 しかし、子供達はそれが当たり前であり、オカシイとは思わない。 その子供の視点で進んでいくので、 こちらは何となく腹の底が落ち着かない印象を受けます。 様々な事をひた隠しにされて育ってきた子供達は、 その好奇心ゆえに少しずつタブーを犯してこの世界の秘密を知っていきます。 その冒険エピソードが繰り返され、 主人公は少しずつこの世界の核心部分に近づいて行きます。 正直、たくさんネタを与えられすぎて、 途中までは一体何に主軸が置かれた作品なのかが掴めず、 ちょっぴりモヤモヤしました。 つまり、手記という形式なので主人公が伝えたい「何か」がある筈で、 それが一体何をテーマにした事なのか.... もっと言えば、この作品がどういう事をテーマにしたいのかが なかなか分からない.... そんなわけで、作品自体はすごく面白いのですが、 序盤は少しモヤモヤしました。 これは多分、私自身の性格によるものだと思うのです、申し訳ないw 面白いのですが、「手記」という形を取る以上、 何か仕掛けがあるんじゃないかと勘ぐってしまうわけですw 世界の秘密を暴くことがメインテーマなのか、 もっと限定的にミ○○○の秘密なのか、 同じく限定的にバ○○○○との攻防なのか、 子供達の間での様々な葛藤なのか、 呪力の秘密なのか、一体どれがメインなの?!とw ま、途中からはストーリー展開にぐいぐい引き込まれて、 そういう余計な勘ぐりをする暇も無くなり、 そんなモヤモヤは吹き飛んでしまうのですがw 最終的には一つをヤマとして 殆どの設定が回収され、この世界の秘密も解かれますので 私としてはとてもスッキリしました。 また、こうやって全てに意味を持たせて、 自然に回収していく集約力はさすが貴志さんだなあ、と感心。 もしまだ読んでいない方には、ぜひお勧めしたいです。 こんなに熱中できる読書体験をぜひ味わって欲しいです。 ・・・が、残虐なシーンや 生理的嫌悪感を味わうような場面もたくさん出てきますので、 その辺りは覚悟の上でお読み下さいませ。 「もしも、人間が超能力を持ったら?」 もしも同じ状況が実現してしまったら、 確かに、最終的に人類はこの世界に行き着くのかもしれません。 そういう意味でも、この作品は凄い。 まだ読んでいない方、さあどうぞ・・・! ↓↓↓↓↓↓↓↓ 新世界より 上 新世界より 下 以下、ネタバレ含んだ感想です。 未見の方はご覧にならないで下さい、 絶対に損をしますwww ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ では。 ま、大した事は書けないんですがw こういう、 「いかに争いの無い、自然と共存できる慎ましやかな人間世界をつくるか」 みたいなテーマは度々扱われますよネ。 その為に人間そのものを根本から変えてしまう、みたいな。 例えば風の谷のナウシカ、 あと、小学校の頃にそんな本を指定図書で読んだ気がします。 題名は忘れましたが、確か 人間に感情の高ぶりを与えるような事を一切無くしてしまった世界の話でした。 (音楽が無い、色も無い、人間はある一定の年齢になったら 施設で「リリース」(安楽死)される、という設定だったような。) こうなってくると、一体何が人間としての幸せなのか、 考えさせられてしまいます... 私としては「風の谷のナウシカ」にあった 「滅びも愚行も私達のいのちの一部」的な言葉が一番心に残っています。 人為的に全ての混沌と汚濁を取り除いてしまったら、 残された世界はどうなるのか。 同じテーマを、よりリアルに想定し、構築した作品が、 この「新世界より」だと思いました。 「呪力」という新たな力を得た人間が、 その力を持たない人間とどうやって共存してくべきか。 また、知識とは、知能とは、心とは、という事について。 この作品では、「呪力」という 「力」を持たない××から知能、知識を奪って 醜い家畜に変えて使う選択をした世界が舞台でしたが、 これは、言い換えれば、 知識と文明を持った人間と未開の地の人間に置換えられる。 さらに言えば、人類の歴史においても、ここまで酷くはないにしても 同様の行いが繰り返されてきているのではないでしょうか。 パッと思いついたのが、黒人奴隷の事。 また、さらに生物であるかどうかという垣根を越えて、 手塚治虫の火の鳥では 知能の発達したロボットと人間との境が曖昧になり、 主従関係が逆転するような状況をテーマにしたものがあったと思います。 魂が宿れば、生物でも機械でも同じ事で、 結局命って何なんだろう??知能って?? とか壮大な事を考えてしまったりもします。 なんというか、知識と知能を持った生命体のもつ 「業」のようなものや「種」について考えさせられたり。 この本を最後まで読んだ後、 ○○○○○は××だったという事を踏まえ、 さらには、もしかして自分は○○○○○の立場かもしれない、と 支配される側の観点からこの作品を読み返すと、全く違う作品になります。 人類のおぞましさもみたいなものが さらにじわじわと迫って来る....そんな事も踏まえ、 なかなかの名作だと思いました。 全然関係無い余談ですが、正直なところを書くと、 主人公に「失言」的な事が多いのがちょっとイラっと来ましたw 後先考えずに口走っちゃったり、他人の厚意を無にしたり、甘えたり、 その為にやってきた努力を無にしてしまったり.... ちょいちょいあるんですよね、そういう事がw まあ、結果的にはそれが良い結果に繋がっているので それでいいんでしょうが.... 全てのヒロインが完璧な人間でなくても良いし 短所はあって然るべきですがw なーんか、まじめだけどこまっしゃくれてて ちょっと自己中な感じがするなあ、とw それだけこの物語に引き込まれたんだと思いますが、 引き込まれる程に主人公の言動にちょっとイラっとくるわけですw こんな事考えるのは私だけだろうなあ、多分w すみませんw というわけで、もう少ししたら また読み返してみたいと思います。
by kei-_-happy
| 2011-09-06 23:35
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